妊娠中期頃になると、赤ちゃんがお腹を蹴ったり、動くのを感じるようになるので、赤ちゃんの存在もより身近になってきます。この頃になると、胎教について考えるママも多いのではないでしょうか?
しかし胎教という言葉は一般的ですが、その内容についてはよく分からないという方がほとんどだと思います。
そこで今回は、いつもの赤ちゃん用品の解説などとは違った観点から、胎教についての基本的な情報を解説してみたいと思います。
胎教とは?
ところで胎教って、具体的には何のことでしょうか?これに答えられる方は少ないと思います。
「胎内教育」の略が、胎教です。「胎児教育」ではないということが、実は重要なんですね。「教育」という言葉が付いているので、いかにも「学力」や「IQ」を伸ばすことが目的だと考えている方も多いと思います。しかしそのイメージは、実は間違っています。
Wikipediaによると、胎教とは、
“一般に妊婦が精神の安定に努めて、胎児によい影響を与えようとすること”
だとあります。ようするに、「学力をアップする」ことや「知識をみにつけること」といった、いわゆる「教育」とは一線を画するものなのです。
また上記によれば、胎教の目的は
・夜泣きをしない
・情緒の安定した子に育つ
・比較的安産の傾向がある
・親子、夫婦、家庭の絆を形成する
以上のようなことが期待されていると言います。
これらからも分かるように、お子さんの「IQ」というより「EQ」(こころの知能指数)を育むことが、胎教の目的だと認識てよいでしょう。
胎教の効果
胎教という言葉は知られていますが、その効果についてははっきりしないことも多いようです。ただ間違いなく言えることとして、ママの情緒の安定は、子どもの成長にとって良い効果を与えることについて異論がある方はいないでしょう。
つまり極論を言うなら、胎教とは「ママの情緒の安定」こそが、その主な目的だと言ってもいいでしょう。
ここで改めて、よく言われる胎教の効果について確認してみます。
情緒の安定した子に育つ
さきほどから説明しているように、
「胎教そのものが、情緒の安定に直接効果がある」
のかどうかは、はっきりしません。
端的に言えば、
「お腹の赤ちゃんにモーツァルトを聞かせれば、子どもの情緒が安定する」
とまで言えるのかは、我々には正直よく分かりません。
ただし、クラシックなどの安らぎを感じる音楽を聞くことで、ママの情緒が安定することは、ほぼ間違いないでしょう。
妊娠中・出産後、ママがストレスを感じずに穏やかに過ごすことが、お子さんの情緒にも良い影響を与えることも、同じく疑いはありません。
親子の絆につながる
お腹の赤ちゃんに英会話で話しかけたり、英語の本の読み聞かせをしてあげるママも多いようですが、それで直接、お子さんの能力を高める効果があるのかは分かりません。ただし、お腹の中の赤ちゃんに話しかけることで、お子さんとママやパパの絆が強くなることは間違いないでしょう。
そして、それこそが、お子さんが産まれてくる上で最も重要な環境作りではないでしょうか。さきほどのWikipediaにもあったように、親子だけでなく、赤ちゃんに話しかけることは、夫婦や家族の絆を形成することにもつながるでしょう。その意味で胎教には、赤ちゃんにとって計り知れない良い効果があると思われます。
そこで今回は、胎教を「ママにとってリラックスできる活動をすることで、産まれてくる赤ちゃんの情緒に好影響を与えること」だと定義し直すことで、情報を整理してみたいと思います。
胎教の方法
ここまで考察してきた中で、胎教は「教育」というより、情緒の安定や、絆の強い家庭を作ることに、高い効果があることが分かりました。
ですから、近年になって流行している「幼児教育」の延長のように捉えることは全くありません。
むしろ、子どもの能力を高めようとして焦ることは、情緒の面ではマイナスになることも十分に考えられます。
それよりも、肩の力を抜いて、赤ちゃんとの絆をつくるためのコミュニケーションだとして胎教に取り組む方が望ましいはずです。ではここで、一般的に多く取り入れられている胎教の方法について、見ていきましょう。
話しかける
一般に妊娠して20週ごろになると、赤ちゃんの動きに気づけるようになるため、赤ちゃんの存在が近いものになります。
この頃になると、自然とおなかをなでたり、話しかけたりするママも多いようです。これが、胎教の第一歩です。
中には、早々に名前をつけて呼びかけるママもいます。名前をつけることで、より親しい感覚になれますので、おすすめの方法です。難しい方は、名前ではなくニックネームでもいいでしょう。
何を話してよいか分からないという方は、「〜ちゃん、おはよう」などとあいさつからスタートしてみましょう。
この頃になると、音も少しずつ聞こえるようになるので、赤ちゃんによっては声に反応してくれることもあります。
ただし赤ちゃんには、言葉ははっきり聞こえていないという研究結果もあります。
ですので、話の内容にはこだわらず、優しく声をかけてあげれば十分です。
英会話
中には、胎教で英語教育をしている会社もあるようですが、「単語を覚える」などの効果は、かなり可能性としては薄いと言わざるを得ません。
しかし全く効果がないかというと、そうとも言い切れないのです。
というのも、同じ研究で、「言葉は聞き取れないが、リズムは聞き取れている」という研究結果もありました。
「じゃ、話しかけても無駄じゃないの?」と肩を落とす必要はありません。
というのも、英語に限らず日本語であっても、人間は言葉そのものよりも、声のトーンやリズムなどから多くの情報を読み取っていると言います。
それならば、英語で話しかけるのは、英語のリズムについて聞き馴染みを持つためには、有効な可能性があるのです。
あくまで主たる目的は、親子の絆の形成であったとしても、話しかける言語について、多少なりともアドバンテージを持つ可能性は否定できません。
絵本の読み聞かせ
胎教の王道とも言えるのが、絵本の読み聞かせでしょう。ちょっと調べるだけで、とにかく『胎教にいい絵本』は次から次へとヒットします。
しかし、売れている本の題名を見てみると、
・『いのちをありがとう』
・『みんなであなたをまっていた』
・『ちいさなあなたへ』
など、一見赤ちゃんに語りかける内容ですが、ママにとってやさしい、幸せな気持ちに包まれる本が多いのが分かります。
これも、子どもを教育しようとするよりも、ママと赤ちゃんの絆を作るという意味で、非常に効果のある方法だと思います。
クラシック音楽を聞かせる
胎教と言うと、なぜか「モーツァルトがいい」という話を聞いたことはありませんか?もちろん、ママがリラックスできるという意味で、モーツァルトに効果がないわけではありません。
しかしそれなら、なにもモーツァルトでなくても、バッハやショパンでもよさそうなものです。
モーツァルトの曲には「1/fゆらぎ」と呼ばれる特殊な癒し効果があるという話もありますが、これも調べた限りでははっきりとは分かりませんでした。
ここでは、あくまで「ママがリラックスできる音」ということに絞って考えてみます。すると、情緒を安定させるという面で、胎教に効果があることは間違いないでしょう。
歌をうたう
音楽を聞くことに似ていますが、歌をうたうことも胎教でよく使われている方法です。
しかしよく考えると、「聞く」と「歌う」では、かなり違います。
単にリラックスすることが目的なら、わざわざ歌う必要はないように思えます。むしろ、好きな歌をうたうとテンションが上がって、
リラックスとは逆の方向にいくことも考えられます。
しかし、歌をうたうことにも、胎教にいい効果があるようです。まず、歌をうたう時には大きく声を出したり、歌の雰囲気に浸ることができるため、ストレス発散の効果があります。
また、うたう時には息を吸ったり吐いたりをリズミカルに繰り返すので、体内(胎内)に酸素を運ぶ効果もあります。
決して、歌の内容が胎児に教育効果をもたらすわけではなく、あくまでママの気分転換として考えるとよいでしょう。
適度に体を動かす
よく言われていることではありますが、胎教が「ママにとってリラックスできる活動」だと大きく捉えるなら、これもかなり効果的だと思われます。
最近では、マタニティ向けのヨガ教室や、スイミング、中にはエアロビクス(マタニティビクス)なども登場しています。
もちろん激しすぎる運動はNGですが、軽い運動は血流を増やし、免疫を高め、ストレス発散などにも効果テキメンです。
近くにそれらの教室がないという方も、朝日を浴びて散歩をするなど、無理のない程度に体を動かすように心がけてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、色々な情報があって分かりづらい「胎教」について考察をしてみました。ここで述べたことは、あくまで私たちで分かる範囲のことですが、
人によっては「胎教をすることで、夜泣きをしなくなる」「発語が早くなる」「右脳が発達する」などと断言している専門家もいます。
十分なデータを基にした発言なら構わないのですが、中には不確かな情報も、調べた限りでは数多く見られました。
このような胎教に関する情報のわかりにくさの原因は、胎教という言葉の使われ方が人によってそれぞれだからだと思います。
そこで今回は、胎教を「ママにとってリラックスできる活動をすることで、産まれてくる赤ちゃんの情緒に好影響を与えること」だと定義してみたことで、すっきり分かりやすくなったかなと思います。
多くの方が胎教を意識する妊娠4ヶ月目頃は、特にママも不安だったり、精神的にバランスが崩れがちな時期でもあります。
胎教に限らず、多くの情報を目にすることで、逆にわからなくなったり、不安になったりすることもあるかも知れません。
しかし、産まれてくる赤ちゃんにとって、ママが心穏やかに過ごすことこそが何よりも大切なことでしょう。決して無理することはないのです。
今回のコラムが、そんなママさん達に少しでもお役に立てることを願っています。
■出典または参考
・benesse
・wikipedia
・diamond online
・mybest